商用車のボルボ・トラックと三菱ふそうをご紹介したあとは、さらにディープな世界へ。一般の人は見向きもしない部品・機械器具の出展社のなかで特に気になった「インファステック株式会社」の製品をお届けします。
インファステック株式会社は、1965年に工業用ファスナー(留め具)のグローバルメーカーである「アブデル社」の製造販売会社として創業。1994年にアメリカのテキストロンの傘下に入り、ブラインドファスナーだけでなく、ネジ、冷間加工品、プレス部品、樹脂部品、自動組立機などの総合的な工業用部品を取り扱う会社に成長しました。日本における唯一の工業用ファスナーズ専門商社として、あらゆる種類のファスナーズの販売に当たっています。工場用ファスナーズ専門商社なので数々のブラントを抱えています。アブデル、カムカ、エルコ……と知ってる名前はまったく出てきませんが、僕が感動したのは、アブデルの「スクリューリブ」という製品です。
スクリューリブとは簡単に言うとリベットなのに六角レンチで取り外しができるというもの。僕も最初に聞いたときは「それ、どういうこと?」と思ったのだけど、実際に見てみると「おおっ!」となる。文章だけで説明するのは難しいので、図も併用します。
まずリブスクリューを母材の下穴に挿入。その後、六角頭のマンドレルがリベット内を貫通しながら拡張し、母材にネジ山を成型します。さらに皿頭を丸頭にしながら板の引き付け、取付け完了。打鋲後は六角穴が残り、六角レンチで取り外し、再取付けも可能。ね? すごいでしょ?
僕がそのアイデアと技術に感心すると担当者は照れた表情を浮かべて「でも、あんまり売れないんですよ」と言います。僕が「母材を選ぶからですか?」と聞くと「まさにそのとおりで。このリブスクリューよりも柔らかい素材じゃないとダメなんですよね」。そりゃそうだ。じゃなきゃネジ山が切れない。まぁ、そういうことも見越して開発したんだろうけど、使う場所が限定されるのではあまり普及は見込めませんね。でも、そうだとしてもすごいアイデアと技術だと思います。しかも通常のリベット同様に最大60発の連続打鋲がハイスピードででき、完全自動機もあるというから驚かされます。僕、こういうの好きなんですよね。ニッチな感じも、技術がマーケを勝っちゃってるのも。
☆おまけ
部品・機械器具にはこんなブースもありました。ま、まぶしい!
TEXT & PHOTO/Morita Eiichi