地球温暖化対策で全廃されたR12のフロンガス。
でも実際、これを使うエアコンのついたクルマは未だ存在するのです。
夏です。エアコンの季節です。エアコンのついてないクルマ乗ってる方にはつらい季節です。
すいませんが、このエントリーはエアコンのない方には羨望か哀れみかなんかその他の視線でお読み下さい。
カーエアコン、と一言で言っても、割と複雑なシステムで空気を冷やしています。
概して言えば、コンプレッサーでガスを加圧して、エクスパンションバルブ(オリフィスチューブ)で気化させて温度を下げて、その下げたガスをエバポレーターという部品を通すことによって空気を冷やす。冷やしたガスはその後リキッドタンク(ドライヤー)という部分で濾過、浄化、除湿して、コンデンサーで冷やしてまたコンプレッサーへ至る、で循環する。要所要所に圧力スイッチと温度センサーが居て、適切に動作するようコンプレッサーの動作を管理している。
が、自動車エアコンの基本システム概論(概しすぎ)です。あ、すいません、順番多少異なるかもしれない。(笑)
各部品の名称もそのシステム毎異なったりしてます。が、基本的ロジックはみんなだいたい同じはずです。
というシステムを、しかも目に見えないガス(気体)を循環させているわけですから、単純にエアコンが効かないといっても、いろいろな原因が考えられるわけです。
- リキッドタンクが劣化して初期の性能を発揮していない。リキッドタンクは長期的に見れば消耗品です。
- エクスパンションバルブが詰まっている。ガスが漏れたまま放置してたりすると、カスが溜まって詰まります。
- コンプレッサーが圧を出していない、漏れている。
- コンデンサーが充分冷やされていない。電動ファンが回っていない等。
- ガスが漏れている。冷やすだけ充分な量入っていない。結果として他所に悪影響を及ぼす。
- その他諸々、魑魅魍魎。
なわけですから・・・しかも相手は圧力がかかる気体ですからねぃ。そもそも、そんなシステムを振動や熱が常時かかる内燃機関搭載移動体であるクルマに乗っけてるわけですから、そもそも無理がある。(元も子もない)
漏れと一言で言っても、見えない漏れに挑む訳だから、だばだばに漏れてればいざ知らず、じわじわ漏れてる場合もあります。ゴム風船膨らませて放置しておいて、1週間置いておけば多少なりともしぼみます。どこから漏れてんの?(謎)
しかも、昨今の環境保護の観点から、ガスが数年前にモノが変わって、基本的には互換性なく、旧いガス(R12)は入手困難。
さぁこまった。じゃあ旧いガスのヒトは・・・新しいガス(R134a)に対応させる?新しいガス(R134a)の方が、冷却効率が若干劣って、ガス自身の粒子が細かい。従って、旧いガス(R12)のシステムに新しいガス(R134a)を入れて、完璧に動作させるにはそれ相応の工夫と細工等が必要。完璧にするには非現実的。じゃあ我慢して、なぜか高いガスを入れるか、代替品と呼ばれる冷媒性能の劣るモノで我慢するか・・・
という、新種の冷媒があります。冷媒性能は新フロン(R134a)、旧フロン(R12)を上回っているはず。価格も不当に高いわけではない。(当社比です。どんなものでもその人の主観で、お金かかれば高いという感覚の人もいますから。その場合は、文句言わず我慢しましょう。)
ただし、どうやら旧フロン(R12)と比べて粒子は小さいらしい。だから軽微なガス漏れもできる限り対策しておいた方がよい。あわせて、圧力変動が大きいらしい。だから過剰な充填は芳しくないらしい。
FIAT Tipo、一昔前のイタ車、エアコンは効かなくて当たり前、という根拠のない噂をまことしやかに謳われてるクルマですが、半ば私の趣味興味とお客さんの理解で、上記ロジックに基づき、リキッドタンクの交換とCold12 の併用で完璧を目指して一通りやりました。
(全量充填の場合はコンプレッサーオイル(画像のちっこい缶ね。)の充填も忘れずに。)
そこから2年くらい・・・未だ、寒いくらい効いてます。効き過ぎ。実用的にどうか。テスト兼ねてガスを入れすぎた、って話もありますが。(爆)
効かないよりイイか。
なので、最近はR12のエアコンの補充・修理の際はCold12 を使ってます。と同時に、上記ロジックに照らし合わせて、よくないトコを適切に手を入れてやれば、本来の性能を発揮させてやることは十分可能だと思います。
ただし相手はガス、どこから漏れてるか、どんな症状か、によって算段と、それに応じて予算は大きく異なってきます。
結果を得るためには踏まなきゃならん算段があります。それに応じてかかるコストはやむなし、なので、覚悟して臨みましょう。(にこにこ)
あ、新フロン(R134a)は、普通に安価に手に入りますから、普通の使いましょうね。私共も特筆するトコのないフツーのガスを使ってます。が、新フロンシステムでも、効きがいまひとつ、という場合は、やはり上述ロジックに従ってトラブルシュートして、とどめにWAKO’s PowerAircon Revolution(名称考えようよ。)の添加もイイかと思いますよ。