Morita(以下、M):5月22日の「フレンチトーストピクニック(FTP)」から2週間後。きょう(6月5日)は「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」で「ミラフィオーリ」が開催されます。
Suzuki(以下、S):イベントが続くね。
M:コロナ禍前の日常が戻りつつあります。
S:きょうは新型カングーを借りて来ているんだけど、それは後で詳しく見るとして……。
M:はい。ではいつもの、行きますか。
M:ミラフィオーリの参加資格は「欧州車であれば年代、メーカー、車種問わず」とありますが、名前が示す通り、基本はイタリア車のイベントです。そして、どうでしょう。会場に展示してあるクルマの2/3はフィアット500(チンクエチェント)ですね。
S:まぁ、そうなっちゃうよね。
M:ですよね。ということで、最初は……3代目のデルタです。非常におもしろいサイズ感ですね。
S:ハッチバックともワゴンとも取れる不思議な形。
M:サイズ感的には現行メガーヌのワゴンと同サイズなんですが、ものすごくホイールベースが長く見えますね。あと、このホイールのデザインがかっこいい。
M:こちらは初代デルタです。デルタと言えば、このモデルをイメージしますよね。2代目もかっこいいんですけど。それにしてもきれいなブルーですね。
S:これはエボ2の限定車として発売されたカラーで「ブルーラゴス」って色だったかな。黄色のジアッラもあった。
M:ああ! ジアッラは聞いたことあります。
M:スパイダーです。当時、これが出たときは度肝を抜かれたなぁ。すごいデザインとしか言いようがなかったです。
S:初代イプシロンのデザイナーとしても有名なエンリコ・フミア氏の、だね。
M:この色の組み合わせもセクシーですね。絶対、僕には乗れない(泣)。
M:イプシロンでした。
S:いいクルマなんだけどねぇ。不運というか何というか。
M:ですね。あ、このホイールもさっきのデルタと同じデザインですね。
S:Z1!!
M:初めて見ました!(きょうイチの興奮)
S:これ、ドアが下からせり上がってくるんだよね。
M:ですよね。でも、実際は乗降性が悪いと不評だったらしいですよ。スペースの関係で、たしかエアコンも付かなかったんじゃないかなぁ。
S:ベルトーネのガンディーニ作だよね。このシュノーケルがいいよね。
M:ミドシップの象徴ですね。
S:途中からベルトーネのバッヂが付くようになったんだよね?
M:そうです。いやぁ、見れば見るほどかっこいいし、この内装のヤレ方も味があっていいですね。
S:やっぱり前期の方がいいね。
M:フィアットやアルファの古いのも、部品が供給されなくなっていますが、頑張って維持していってほしいものです。
S:同時期のクルマだとこれもそうだね。
M:クーペ・フィアット。クリス・バングルのデザインです。生粋のイタリア人デザイナーかと思ったら、アメリカ人なんですね。これは……
S:20Vだから5気筒モデルだね。
M:内装のデザインといい、ドッカンターボといい、魅力的な1台です。
S:3列あるから6人乗り仕様かな。
M:あ、6人乗れるんですか(笑)。シルエットだけ見ると、一瞬どっちが前かわかんないですね。
S:初代パンダ、乗りたいって問い合わせ、いまだに来るんだけど、これをいまから乗ろうとすると相当大変だよ。
M:ビートルやミニなどと同じく、名車だと思うんですけど、やっぱり維持していくのはきついですよね。
S:いま乗っている人はがんばってほしいです。
M:そして、こちらは現行パンダ。あ、そういえば2代目パンダは見かけなかったですね。
S:そういえばそうだね。まぁ、立派になった3代目です。
M:最初に乗ったときは驚きました。あのパンダがこんなにまともになっちゃってって(笑)。
S:だよね。プントなき後、フィアットのベーシックを支えていってほしいです。それにしても、なんでプントやめちゃったんだろうね。
M:いまだに理解できません。
S:さて、じゃあカングー見ていきますか。
M:はい。このカングーはどんなグレードなんですか?
S:1.3L TCe100で6MT、もちろん左ハンドル。グレードは「Edition One」で、発売初期にある限定車だね。ラインナップの中でいうと中くらいのグレードかなぁ。
M:サイズはそんなに大きい印象ないですね。
S:そうだね。とりあえず全幅計ってみようか?(メジャーを取り出す)
M:サイドミラーは入れずにね。
S:うん、いれずに。
M:うーん、どうでしょう。1825mmくらいですかね? 現行は1830mmくらいでしたっけ? 幅はほぼ一緒ですね。これってヘッドライトは?
S:まだ左側通行用になってない。そもそも右ハンドルのカングーが存在しないので、左側通行用のヘッドライトも入手できないので、登録もできない。そういう事情で参考出品って形にしてあるんだけど。このライト、もちろんLEDなんだけど、光源が上についているんだよ。
M:上? というと?(ヘッドライトの中を下から覗く)
S:上に光源があって、それをミラーで反射させて前方に光を飛ばしてる。
M:ああ、なるほど。そういうこと! でも、これだとヘッドライトごと交換するしかないですよね。
S:だね。がんばっても壊すだけのような気がするので、左側通行用のが入手できるまで待ったほうが得策な気がする。ヘッドライトユニットが左右でいくらするのか……。サンデロのLEDヘッドライトは左側通行用の左右がだいたい20万円だったので、カングーはどうか? あくまでも予想だけど、30万円以上は堅いかなぁ……。
M:30万以上!!
S:サンデロは当時の為替で計算してヘッドライト交換込みで総額200万円半ばなわけだから、それを考えると安いと思う。なんで高いって揶揄されるのか、謎。ま、それは置いといて、エンジンも見よう。
M:うーん、これってメルセデスと共同開発なんですよね。なんかエンジンの見た感じがルノーっぽくない顔……。新世代エンジンだからかなぁ。
S:もしかしたら基本設計はメルセデスかもね。わかんないけど。
M:1.3リッターのTCe100ですか。
S:130ps仕様のもあるみたいだけどね。
M:そういえば、もうエルフじゃないんですよね。純正指定オイル。
S:うん、カストロール。
M:ライトは小糸がつくってるんだー。
M:中もそんなに広くない印象。
S:助手席側のドアまで遠くないでしょ?
M:ええ、ぜんぜん。
S:言い方換えれば、狭くなったのかもしれないけどね(笑)。走ってみ てもカングー2より小さく感じるくらい。
M:そうなんですね。車内の景色もすっかり乗用車です。
S:カングー2はまだ商用車っぽさは残ってたけど、これはみじんもないね。そう、これ運転席の高さ調整の幅がすごい。
M:(レバーでキコキコやってみる)ほんとだ。いちばん下まで下げるとまったくカングーじゃないポジション(笑)。上まで上げると……、これ、どこまで上がるの!?
S:計ってみようか。えーと、だいたい60mmくらい上下できるね。
M:装備も充実してる感じですね。
S:スマートフォンのワイヤレス充電ができるスペース、8インチのタッチスクリーン、瞬間燃費とかエコ運転を評価してくれるやつとか、ADAS関係もアクティブ緊急ブレーキ、ヒルディセントコントロール付きスピードリミッター、ストップ&ゴー機能付きアダプティブ・クルーズコントロール、レーンキーピングアシスト、アクティブ・ブラインドスポット・モニタリングほか、14種類の先進運転支援システムが標準装備されてる。
M:まぁ、立派になって。というか、そのあたりの装備はもう国産車では当たり前に付いてますもんね。
S:そうだね。あ、そうそう。グローブボックス、おもしろいよ。
(開けてみる)
M:リアは何となく広く感じる。開口部も何となく大きくて乗り降りしやすい感じ。何となくばっかりだけど(笑)。
S:ラゲッジもカングーらしいね。
M:これ、観音もあるんですよね?
S:オプションになるけどね。
M:個人的には屋根になるからこのほうが好きですけどね。
S:欧州ではRV的な使い方をする車両はハッチバックが一般的。だから観音開きにするには、発注時にオプション指定しないといかんです。なので観音の在庫車ってまずないんだよね。ちなみにルーフレールは可動式。
M:ああ、シルバーの部分の一方が外れて横に渡せるやつですよね。
S:そうそう。
S:いまはこのカテゴリーにベルランゴもあるし、リフターもある。この2台は日本人受けしやすい華がある気がする。目を引き装備とか、華美な感じというか。
M:そうですね。でもルノーは違う。
S:カングーだけじゃなくて歴代からそういうとこに目もくれないで独自路線を行くメーカーだからね。あ、でも最近車内にイルミネーション付けたり、いらん色気を出してきてるからなぁ……。
M:いらん色気(笑)。
S:まぁ、そういうわけでベルランゴやリフターとは価格帯も方向性も違うけど、そういうライバルたちとどう戦っていくのか。少なくとも装備的には現代のクルマに追いついてきたから、その点がネガになることはあまりないかもしれなけど。
M:そうですね。あとデザインですよね。このちょっと男前な感じがどう受け取られるのか?
S:まぁ、これからだよ。生暖かく見守りつつ、だね。
M:こちらはパンダの無塗装バンパー仕様ですね。
S:本当は向こうで売られてるバンを持ってこようと思ったんだけど、貨物(商用車)で登録してあるクルマは日本に持ってきても4/1ナンバーの貨物登録になるんだよ。で、貨物と乗用では、貨物の方が安全対策などの規定が緩いんで、4/1ナンバーを5/3ナンバーにするには、その緩い部分をすべて何らかの形で照明しなきゃいかん。ただ、その項目の多い現代のクルマでは事実上無理。カネと手間を惜しまずにやってもできるかどうか保証はできない。
M:なるほど。そういう事情があるんですね。
S:欧州で売ってるカングー・エクスプレスも同じ。1ナンバーで良ければ付くと思うけど、向こうの商用車は本気の素ったかで快適装備皆無だからエアコンとかつけてあれこれやったら本家のカングーよりも高くつくかもしれない。やったことないから知らんけど。まぁ、そういうわけで向こうで無塗装の樹脂バンパーのみ交換してこっちに持ってきてる。
M:へぇ、そうなんですね。これ、サイドモールってありましたよね?
S:これはね、もともと付いてないグレードのを選んでる。
M:なるほどー。ないほうがそれっぽいですもんね。
S:これ、完成品を見れば単に無塗装のバンパーに交換されてるだけなんだけど、それをやるのってけっこうコストがかかってる。まず交換するって言っても、交換すればもともとあるバンパーが余っちゃうよね。モノもでかいし、バンパー自体も無塗装とは言え、安くはない。交換の工賃もかかる。そういう諸々のことをやって成し得てるわけで。それが199万円なら高くはないと思うんだけどね。
M:そうですよね。小物パーツをちょこちょこ替えるのとは違いますもんね。
S:こういうところも萌えてほしい(ドアミラーの取り付け部を指差して)
M:手動!
S:パンダ1に乗ってる人ならきっと刺さるはず。
M:いいですね。こういうのをさらっと乗るの、かっこいいです。
さてさて、なんやかんやでイベント2連発が終わったわけですが……。こうなると次は「フレンチブルーミーティング(FBM)」に期待せざるを得ません。何やら怪しげな告知もありましたが、どうなることやら。動向を見守りつつ、ですね。
Photo & Report/Morita Eiichi