多分、栗緒さんはもう亡くなっていると思います。
数週間前、私の不注意から脱走して、それ以降帰ってきません。
栗緒さんが最初に現れたのは、記憶が曖昧ですが、少なくとも、
この現存する最古の画像より前、まだ手のひらに乗りそうな子猫の頃、2匹で来ました。
その後、来たり来なかったり、途中から1匹になり、数週の周期で来たり、の、推定野良猫でした。
よくクリオグラントゥールの下にいたので、クリヲさんという名前をお客さんから頂き、当初は性別不詳だったので、カタカナ表記でした。
2008年頃から、頻繁に現れるようになり、その後、殆ど毎日現れるようになりました。
その頃には、メスだと発覚して、”栗緒”という漢字表記になりました。
その辺り、当初の経緯は、
これ以降は、私が更新めんどくさがって、Twitterに近況報告を上げるだけになってました。
なにしろ気が小さくて懐かない猫で、餌出してもひとが居ると近づかない。ひとから1メートル以上は離れている猫で、私が触れるようになるまで、優に5年は掛かったと思います。
多少触れるようになってから、お腹になんかできもの?があるのが発覚。タイミングによって大きくなったり小さくなったりしてた。
一応獣医に診て貰ったら、悪性のものじゃない、体液が溜まってるだけってことで、そのまま、となりました。獣医の記録によればその頃の体重が約4.5Kgだったとのことです。
一回、数週間現れなくないました。こりゃもうダメかな?あるいはどっかで飼われてるかな?と思ったら、どうやら市営の野良猫避妊手術に捕まったらしく、あえなく耳を切り欠かれて帰ってきました。
そんなあたりから、お客さんには何故か懐くようになり、皆さんにかわいがって貰えて、彼女は彼女なりに幸せだったんじゃないかと思います。
そっから数年が経ち・・・
すっかり外猫、居着いた猫、餌貰いに来る野良猫、かつ、お客さん来ると懐きにいって、社長という役職名を頂くまでになり・・・
なんか最近痩せてきたなぁ、餌喰う量が減ってきて、動きが緩慢になってきたなぁ。年かなぁ、他で旨い餌もらってんだろうなぁ、とか暢気に思ってたんですが・・・
いやこれこの痩せ方尋常じゃねぇよ、になって、ひっ捕まえて獣医に連れて行きました。
診断は。。。
重度の腎不全による尿毒症、ならびに低体温症。
血中アンモニア濃度が高いため、食欲が出ない。
衰弱。
腎不全は、治癒の見込みなし。
発覚は10月か11月頃だったと思います。
対応策は、当面の毎日の点滴、強制給餌。
毎日の点滴は、有識者はご自宅で針刺してやるらしいですが、私はそんな繊細な技術持っとらせん。そもそも私一人。獣医さん、有識者の話しを聞きたいそれを為すくらいしかできないので、当面は毎日の通院を選択しました。仕事のスケジュールを毎日2時間ほど空けて、栗緒さんを捕獲して、病院に連れてく。
強制給餌、ad缶というペースト状のキャットフードを、口の横から注射器で流し込む・・・目標1日1缶。
これが大変。何せ懐かないことに定評のある栗緒さん。ご機嫌伺って宜しげな時に捕まえて押し込む。逃げる引っかかれる噛まれるまた捕まえる。当初は1セッションに注射器1本が関の山、大多数はこぼす。501がキャットフードまみれ、から始まり・・・1日1缶なんて到底及ばない。
家の中店の中で暮らす用の資材機材を揃える必要が出て・・・猫トイレ猫砂その他諸々買い出して・・・
皆様に人気がある栗緒さんなので、Twitterにその旨大病を患った旨報告したら、皆様から何か要りますか的なご相談が多数。でも正直、私じゃ何が要るかこの先どうなるかわからない。だったら不躾ながら現金の方が治療費餌代なんとでもなるで店頭に栗緒基金箱と呼ばれる貯金箱を設置したら、なんだか推定すっごい額になり私が狼狽して・・・
そんなこんなで、何せ野良猫の初めての部屋暮らし。しかも腎不全。大量に水分を取って大量に出すのがよいとされている。トイレ教えるにも既に成猫・・・様子を窺ってあっと思ったら捕まえてトイレに搬送の日々。見逃すとそこいらで致している。幸いなことに腎不全なのでさほど匂わないとはいえ・・・
この辺りで、私の不注意で一度脱走。1~2晩帰ってこなかったが、深夜に探しに行って隣の家の裏でうずくまってるの発見、だが逃走。次の日にソーと行って捕獲って事件もありました。
その後、それが数週間続き、なんかいくらかは元気出てきた。それなりに動くし、ニャーニャーも言うようになってきた。これは最悪の事態は脱したのかなぁ?
となると、すごい勢いで外に行きたがる。弊店前の扉を開けようとする・・・
やはり野良猫、外が好きなんだろうなぁ・・・
この頃から、通院は数日に一回でイイですよになり、餌も少しずつ自分で食べるようになり。餌(ちゅーる)に薬を混ぜておいておけば、なんとか自発的に食べてくれる。
次の症状は、貧血。
うむー。。。
この辺りで、あまりに外に出せが五月蠅いので、数度外に出して、ひなたぼっこしてたり巡回してきたりで、でも夜には帰ってきた。彼女にとってここが”家”になったのか?という私の浅はかな誤解。
そして体重は増えず・・・どころか次第に痩せてゆく・・・
1週間くらいして、病院で点滴うけた夜。なんか急激に元気がなくなったのと共に、後ろ足ががに股な様態になり、しゃきっと歩けないようになっていた。うっわーやだなぁーと思い次の通院を早めて獣医さんに訊いたら、筋力の低下との判断。ふむー、そういうものなのかー。
ともかく、この時点で減り続けていた体重はどんどん2kgに近づいていく。みるみる衰弱してるのが素人の私にわかるくらい。
獣医から、とにかくad缶を喰わせろの指示。
よって、従前は自発で喰うを優先して強制給餌だったのだが、既に自発的には喰わなくなっていた。もう薬混ぜたad缶を日に何度も少しずつ口に押し込む。私が手慣れてきたもあるが、なんとか日に1缶を達成。今思えば実際は栗緒さんの体力気力がない為すがままされるがままだったような気もする。きっと、しんどかったんだろう。
もうその頃は、栗緒さんをどこかに降ろすと、よたよたっと自分の居心地いい場所に移動して、そこから微動だにせず。不定期に起きあがって4~5歩あるいてオシッコするくらいしか動かなくなってきた。
夜、毛布(何故かフリースを嫌がる)にくるむと、ちょっと居心地よさそうにする。が、よたよたっと逃げていつものフリース敷いてある場所に行く。
私が寝るときにベッドに連れて行っても、大抵ソノいつもの居場所に行っちゃう。
つくづく、懐かない猫だ。さすがツンデレ猫。
んでももう、どんな形であれ、最後まで面倒は見る覚悟はしていた。いつまで続くかはわからないが、続く限り生きている限り、世話する覚悟はしていた。
ある日、お店に連れて行って、いつもの定位置に栗緒さんが座って、私は車検のお客さんの打ち合わせをしてて。
ちょっと外に出た時に、扉がちょっと開いていた。
帰ってきたら、栗緒さんは居なくなっていた。
歩かない動かないだったのに!
あの状態で外、この寒空、保つわけがない。
昼夜問わず数時間に一回、近隣を巡回して。
念のために、もし帰ってきたときに備えて、餌を外に用意して。でも自分で食べれる筈がないのに。
それを数週間やって、、、
だが、現在に至ります。
よって、大変遺憾ではありますが、冒頭の判断に至りました。
栗緒基金にご協力いただいた皆様には大変申し訳なく思っています。私の手際が悪かったことで、このような事態になってしまいました。詫びてもことが済むことではありません。
だが私は、もう、涙流しながらでも、これをこうしてまとめるしか、出来ることが残されていません。
私は栗緒基金の内容を把握はしていませんが、承服できないとお思いの方は、個別にご指示ください。
栗緒基金の缶はまだ開けていませんが、ご申告いただいた額でおかえしさせていただきます。
既にもう何をどうまとめてイイかわからなくなりました。
が、もう書けることもないのです。
最後に、
栗緒さん、あなたが店の前でコロコロしてて、帰ってくると、ニャー言って餌喰って、夜どこかに行って、朝シャッター開けるとニャーって待っている。
その生活に慣れていたので、突然あなたが居なくなったダメージからは当分立ち直れそうにありません。あなたが元気な頃にひっかいた痕だけが、次第に癒えてくだけです。
あなたの寝床、トイレ等々、未だ片付ける気になれてません。帰ってくるんじゃないか、そんな1ミリもあり得ない無意味な期待を未だ抱いてます。なのにiPhoneにあるあなたの画像は見れません。でも消せません。
私は最後まで看取る気でいたけど、あなたは野良猫で、あなたの生き方があるのだと思います。
きっと、点滴も、強制給餌も、つらかったんだとおもいます。
無理させてると思ったのは、あなたが居なくなる数日前でした。
でも私と、栗緒基金にご協力いただいた皆様は、あなたに最後まで生きていて欲しかった。
だが、野良猫であるあなたが、帰るところはここじゃなかった。
帰るところにはなれなかった。
私は、私の無益を、恥じます。
お気持ち、お察しします。
猫は、最後は見せないらしいですね。
最初の子の最後は、見とれました。
呼んでくれたんですけど。
気に入らないご飯は食べないですしねぇ。
きっと幸せだったと思いますよ。
僕にもゴシゴシさせてくれましたからね。
合掌
腎不全は、しょうがないんですよね。
クリヲさんは、幸せだったと思います。
一般に野良猫の寿命はとても短く、栗緒さんの様に
皆に可愛がられて10年以上生きられたことは奇跡だったの
かと思います。また己れの死期を悟ると、人知れず姿を隠して
生涯を終えるというのも野良猫の習性らしいのです。
見たくないと思いつつ、見なければいけないと…。
きっと栗緒さんはパトラッシュの様に天使に運ばれて行ったんだと思います。