2019年5月26日(日)、福井県金津町にある「金津創作の森」にて恒例の「フレンチトースト・ピクニック(FTP)」が開催された。今年はFTP20周年とシトロエン100周年が重なることもあり、日本で発売された歴代シトロエンを全車種集めようという企画を実施。例年よりも多くのシトロエンで会場を盛り上げた。さらにプジョーシトロエンジャポンのクリストフ・プレヴォ社長を招待し、トークショーも開催。充実したイベントとなった。
さて、今回のイベントレポートは、例年のパターンとは趣向を変えて、イベント内で行われている「FTPラリー」に参加。「毎年、FTPラリーってやってるけど、どんなことするの?」と思っている読書の方もいらっしゃるはず。そこでRENOさんのお客さんに「参加しません?」と打診したところ、OKをいただいた。ということで、今回はFTPラリーの顛末をご紹介します。
【FTPラリーとは?】
コマ図(スタート地点からの距離とルート上の情報を簡単な図を使って示したもの)を使い、各々のクルマに乗って交通ルールに則りながらCP(チェックポイント)を回る。CPではクイズやゲームに参加するなどのアトラクションもある。設定された総合タイムにいちばん近い参加者が優勝となる。
参加車両/ダシア・ドッケール
ドライバー/Sさん
コドライバー/Yさん
同乗者/Morita
今回のFTPラリーは、昨年好評だった「三国~成田山コース」と初登場のCP「道の駅みくに」を設定。あわら市郊外~温泉街~三国市街~道の駅と変化に富んだコースを設定。
まずは9時15分から始まるドライバーズミーティングに参加。ここでルールなどを確認します。10時からいよいよラリースタート。ゼッケン番号順にスタートしていきます。われら「Team RENO」(勝手に命名)は、76番。張り切っていきましょう!
FTPラリーの順番待ちの車内にて
M:そういえばSさん、ドッケールが来てどれくらい経ちました?
Sさん(以下、敬称略):来たのが3月末なので、まだ60日経ってないですね。
Yさん(以下、敬称略):何キロ走りました?
S:いま4100kmくらいかな。
Y:おお、けっこういきましたね。1ヶ月2000kmくらいなペース!
M:でも何やかんや乗りやすいとこればっかり乗っちゃいますよね。
(補足:SさんはクリオV6も所有)
Y:乗っちゃいますねー。
M:実際乗ってみてどうですか?
S:うーん。「カングー1だね」の一言(笑)。
M:それに尽きる、と。
S:うん。その言葉にすべてが集約されてる(笑)。
M:たしかにね。若干大きいカングー1ですよね。
Y:ダッシュボードの上にモノを置くと映りこんじゃうんだね。フロントガラスの傾斜がきついからかな?
S:そのためにこれがある(頭上の物置を指さし)
Y:なるほど!
S:邪魔なモノは上に放り込む!
M:何でもかんでもそこに入れちゃいそう。
いよいよスタート間近!
Y:さぁ、何を話しますか。インタビュー。
S:あんまり話すことないんだけどなぁ。これ、カングーですか? って言われそう。
Y:え、これカングーですよ? で押し通す(笑)。
――「愛知県からおこしのSさん。お車はダシア・ドッケール……
S:はい。こんにちは。初めての参加なので、楽しんでいきたいと思っています!
インタビュアー:このクルマ、かなり珍しいですね?
S:まぁ、珍しいですね。国内でもまだ2台しか登録されてないです。
インタビュアー:に、2台!? が、がんばってください!
(3、2、1、スタートッ!!)
Y:まず、最初の課題です。50mの距離を9秒で通過しましょう。そのまま行っちゃっていいんで。はい。スタート!
(補足:スタート直後に50mの直線があり、そこを9秒で通過するというテスト「レギュラリーティーラン」。この成績も順位に反映される)
S:はいよ。
Y:1、2、3、4、5、6、7、8、9……
S:ああ、ちょっと遅いな。
Y:うーん、10秒かな。さて、次はこの「創作の森」を左折です。
S:はーい。
Y:で、次の信号300m先を左折。あそこですね。青看板の標識の向こうの。
S:左折ね。
CP:1 金津技研まで
S:うん、10000kmで一回しました。
M:何入れたんです?
S:ユニルオパールの24S。このクルマはそれで統一していこうと。ゆるく走るクルマなんで。
M:なるほど。
S:ヤッコのYC-454までは必要ないかと(笑)。
Y:ははは!
S:って言ってたら、Sさん(もう1台のドッケールのオーナー)は、ルブロスのシュペールノヴァ入れてるし!
M:へー。
S:まぁ、でも俺も軽トラにYC-454入れてたから人のこと言えんのだけど。
M:え、そうなの?
S:そうそう(笑)。
M:なんて贅沢な!
Y:たしかに贅沢。でも、しばらく24S使ってみて、YCあたりのオイルを入れてみて比べるのもおもしろいかも。
S:うん、それは一回試してみようかと思ってる。
Y:はい。あと500m……。たぶん次の信号を左折。ちょうどこのカーブの先ですね。
S:了解。
Y:ここから1.3km。最初のチェックポイント「金津技研」という建物ですね。たしか去年のラリーでは最終のチェックポイントがそこでしたね。
S:左に入ってくんだっけ?
Y:そう。左に建物があるので。この道沿いですね。
S:ああ、ここ?
Y:ここですね。
(クルマを降りてチェックポイントに向かう)
係員:スタンプと問題解くのもあります。
S:はい。お願いします。
係員:これが問題ね。何人がかりでもいいですよ。
Y:DSのデザイナーは誰か?
S:ん? ベルトーネ? ベルトーニ? ネかニか?
全員:(笑)
M:ネかな?
(間違いです。正解は「フラミニオ・ベルトーニ」)
S:どこ製?
M:トヨタでしょう。
(選択肢にはトヨタとあったので選びましたが、実際はダイハツ製です)
S:じゃあ、トヨタ。
(と、こんな感じで問題を解いていく)
S:はい。じゃあこれで。
M:けっこう難しいね。
Y:はい。じゃあここを左に出で、400m。
S:はいよ。
Y:で、ここを左折。次は500m先を右折です。
S:右折ね。
恐怖の廃墟!? ワンダーランド!
M:広くていいですよ。膝の前もけっこう空いてるし。ドライバーは自分のクルマの後ろの席は乗らないですもんね。
S:たしかに。
M:Sさんってこれまで1.6のクルマって乗ったことあります?
S:テンロクは……ないなぁ。
M:エンジン、どう思います? 僕とYくんは低速あんまないなぁと思ったんですけど。
S:うーん。
M:逆に上はけっこう気持ちよく回るんですけどね。
S:上はぜんぜん回してないからよく分からんけど。
M:あ、そうなんですね。
S:トロトロと走るだけで満足しちゃってるんで。
Y:踏んでくとけっこう軽快に回るんで気持ちいい。荷物も載るし、こういう小物入れがいっぱいあるのもいいよね。
M:うん。快適。ちゃんと冷えてる。けっこう下から来るんだよね。風が。
Y:電気屋が左側にあって、その前を右です。
S:了解。
Y:で、T字の交差点を左折。
S:さっきの話だけど、エンジンよりも俺はブレーキかなぁ。あえて言うなら、ちょっと甘い気はする。
M:ああ。
S:最近、スポーツモデルばっかり乗ってるからそう思うのかもしれないけど。
M:荷物や人載せたとき?
S:いや、一人で乗ってるときも。でも、かといってあんまりガッツリ効いてももらっても困るんだけど。
M:運転する感覚もカングー1?
S:そうですね。左ハンドルのカングー1に乗れる人ならぜんぜん問題なし。3ナンバーだけど、カングー2ほど幅ないから。
Y:この交差点を左折ね。
M:廃墟だ! こ、こわい。
Y:怪しすぎる!
(補足:国道305号線の途中にある「ワンダーランド」という廃業になった遊園地の前を通り過ぎたときの話。非常に分かりやすい場所にある廃墟なので、けっこう有名らしい)
M:すごい。
Y:もうここ、何年も前からこうだもんね。
S:そういえば、芝政は? 一回倒産してなかったっけ?
Y:いまもあるけどね。
S:あ、それとは別なんだね。
Y:ああ、こことは違いますよ。芝政はもうちょっと向こう。東尋坊の手前あたりかな。
S:そうなんだ。
Y:芝政といえば、夏のプール。CMもけっこう流れてた。
S:そうだよね。
CP:2 成田山まで
S:そういや、2人はRENOさんの社用車カングー乗ってるよね?
Y:うん。乗ったことありますよ。
M:1.4の。僕、あのカングーがいちばん好き。
Y:俺も。乗りやすいもんなぁ。去年はちょっとクルマ修理してるときに借りて、キャンプ行ったんだけど、めちゃくちゃ載るもんね。いらん道具まで乗せてったわ(笑)。ドッケールはそれと同じくらい。それ以上載るよね。
M:いいよね。けっこう速いし。
Y:すずきさん、フレンチブルーの帰りとか、高速でめちゃ速いもん(笑)。FTPの帰りとかも何回か抜かれた。おお! って。
Y:はい。次のチェックポイント。成田山があります。ここ右に回って。
(成田山の駐車場に到着)
係員:お疲れさまですー。
M:ここはスタンプだけ?
S:うん、スタンプ押してもらっておみくじを引いたよ。はい。クルマ戻って。
Y:あのロータリーを左折です。
S:はいよ。
Y:で、あのT字を左です。曲がったらこのまま道なりで。
S:はい。このクルマ、コラムシフトだったらおもしろいかもって。
Y:ああ。
S:たぶんないんじゃない?
Y:聞いたことないね。俺、クルマの免許取って最初に乗ったのが、バイト先のボンゴの4速コラム。どうやって運転していいのかわからんかった。
M:僕の2台目のミニカ・ピックアップもコラム4速だった。
S:俺も最初に乗ったのが会社のライトエース。コラムシフトだった。
M:みんなコラムシフト経験者(笑)。
CP:3 道の駅「みくに」まで
M:ここ、河川敷に田んぼがあるって珍しいね。
Y:おお、ほんとだ!
S:ちょっと水嵩が増したら浸かっちゃうね。
Y:たしかに。あんま見ないね。
S:輪中とはまた違った(笑)。
Y:海近いし、汽水域だろうから、塩水上がってくるよね。
S:よく気付いたなー。
M:なんか変だなと思って。
S:矢田川の河川敷の畑とは違うね。
M:ははは!
Y:庄内川とか。ゴルフ場があるとこ。
S:はい。
Y:あ、そこに主催者がいますね。そのまままっすぐ。
係員:おつかれさまー。道の駅から「酒(さか)まんじゅう」です。どうぞー。
(補足:酒まんじゅうはもち米と糀を熟成し、甘酒を天然発酵させてつくる。甘酸っぱい酒の風味が漂う皮と、まろやかな餡が調和した越前三国の郷土銘菓)
S:ああ、ありがとう。
Y:では、この出口、道を挟んで右に出ます。
S:はいよ。
Y:あのエネオスの交差点を右です。
M:ああ、また戻ってきたんだね。さっき渡った橋を戻っていく感じだ。
CP:4 あわら温泉街
M:1時間以内で戻ってきちゃうと失格なんですよね。
Y:そう。でもスタートしたのが10時くらいだから、失格はないです。
M:あ、さっきのワンダーランド、また通過するね。
Y:やばいミッキーね(笑)。
M:パターゴルフ場は何となく営業してるような。
Y:きれいに整備されてるもんね。
S:でも、廃墟は危険だよね。5月に鈴鹿の子が亡くなったでしょ?
Y:ああ、パチンコ屋の廃屋でね。2階のドア開けたら足場がなくて転落しちゃったやつ。
M:こえ~
Y:そのファミマがあるんで、そこを左折してすぐ右折です。
S:了解。
Y:次のチェックポイントはダイナムの駐車場かな。
S:このウィンカーの音、後ろまで聞こえます?
M:聞こえますよ。
S:和むよね。
M:これってカングー2と同じような音だけど、違うかな。
S:カングー1はこの音じゃないね。
Y:ここを真っすぐ行って、止まれの標識を右です。
S:はいー。
Y:さっき来た道を戻る感じ。ガソリンスタンドを曲がったらチェックポイントに近いです。
M:ここが最後のチェックポイントかな?
M:けっこう街中にあるんだね。温泉街って山間にあるイメージだったから。
Y:ここ、2年前くらいだったかな? 老舗の旅館が火事で焼けちゃった。あそこの突き当りを右です。
S:はい。
Y:ここ過ぎたところにチェックポイントがあります。
S:はい。スタンプ。
係員:どうぞって。
子どもたち:どうぞ!(なんかくれた)
S:ありがとうー。
係員:えーと、3名さまですね。お兄さん、最後にじゃんけんお願いします。
S:あー、はいはい。
(Sさん負ける)
係員:あー、残念。じゃあ、これお守りです。どうぞ。
S:ありがとう。
係員:気を付けて!
Y:はい、ではここを左折です。
ゴールまで
Y:この交差点を左。
M:あのエランについていけばいいんじゃない?(笑)
Y:もう戻るだけだからね。そのガソリンスタンド跡を右です。
S:はいよ。
Y:次の信号を右折。で、600m。左にシャッターって書いてある。
S:シャッター?
Y:ん、あそこかな? いまちょうど赤いクルマが……。
S:ああ。
Y:あ、これか。シャッターって。倉庫のシャッターってことね。はい、ここから500m。
S:はい。
Y:で、出光の交差点を左です。お、ここすごいね。「すててこ株式会社」(笑)。
M:ほんとだ(笑)。すててこ専門店かな?
Y:(笑)
M:これ、1時間以内にフィニッシュしたら失格って書いてあったけど、1時間以内は無理だわ。
Y:だね。三国のほうまで行って往復するから、急いでも1時間以上はかかるよね。あの信号を右折です。
S:ああ、往きに走った道だ。
M:ゴルフ場があったところだね。もうゴールは近い。
Y:で、金津創作の森を入って、最初に待機してたところがゴールです。
(無事にゴール!)
S:はい。お疲れさまでした。
M:んでは、2人で記念写真でも撮りますかね。
S:初めてだったけど、やってみるとけっこうおもしろいね。
M:なんかドッケールのインプレッション、もっと語ってもらうつもりだったけど、けっこう道順を確認するのに夢中になっちゃった。
Y:まぁ、でも「カングー1」です、ということで(笑)。
S:カングー1よりぜんぜん目立たないけど、だからいいんだよね。
【総評】
今回のねらいは、FTPに行ったことはあるけど、FTPラリーってどういうもんなんだろう? と思っている人に向けて、その顛末を紹介したいということと、もうひとつ、ドッケールを実際に買った人がどんな感じなのかをレポートしたいという思惑があった。FTPラリーの内容は、まぁ、ここまで読んでいただいた方には何となく伝わったと思うのだが、ドッケールに関してはもうちょっと言及したい。
FTPラリーに出場したとき以外は、ドッケールを会場に並べていろんなお客さんに見てもらった。その中で大きく2つの反応があることに気付いた。ひとつめは「なにこのクルマ? 珍しいだけじゃん」という反応。まぁ、一般的にはそうだろうと思う。ふたつめは、ごく一部の方なんだけど、目を輝かせてクルマを見ている。単純に好奇心で見てる人もいるだろうけど。
この差はなんなんだろう? 当然、比較対象にカングーがあるのは言わずもがな、なのだが、似て非なるモノ(ドッケール)を目前とした場合、巷でその評判が確立しているカングーのみをヨシとすれば、前者なのだろう。でも、カングーもいいけど、巷に存在しすぎるし、2に至ってはデカ過ぎるし、妙に豪華だし。なので、やっぱカングー1だよね……とはいっても、1はいまから乗るとなると、信頼性や耐久性に疑問符は付けざるを得ないのも事実。
そこでこの「ダシア・ドッケール」が眼前にあるわけである。普段の足として、妥協してフツーのクルマに乗ってるよりは、こういう選択肢もあるんじゃないか? たぶんそれに気付いた方が、その目に輝きを宿したのだと思う。
まぁ、とはいってもね、好奇の目で見るほどのすごいクルマじゃないんですよ、そもそもが。ただ、そっからして普通の人の理解の範疇をかるーくハイジャンプしてんじゃないかなぁとも思ったり。
他の評価を礎にする一般の人と、好事家の差を垣間見た気がしたのが、今回のFTPでした。のでありました。おわり。(Suzuki)
えー一応、弁明の機会を与えてください。
弊店斜陽車過疎愚ー、’99年の1.4SOHCですが、パワーないのです。
なので、高速では、特定の速度(ご賢察ください)から、それ以上への加速が、チョイ鈍いのです。
だから、スピードに乗ったら、そのまま巡航したい、減速したくないのです。
そいだけです。