Dacia Logan MCV Laureate 1.6 16V

普通にいい、ってどういうこと?

一見、背が高いように思えるが、全高はカングーよりも170mm低い普通にいい、って
何だろうね?

日本語を使う商売だけに、言葉には少しばかり敏感だ。とくに最近気になる表現が「普通にいい」。普通と言っておきながら、良いとはなんぞや。普通なのか、良いのか、どっちなんだ、と。最初に聞いたときは「?」だったが、気が付けば自分も使ってたりする。「Nikonの新しいカメラ、普通にいいよね」とか「あそこのラーメン、普通においしいよね」とか。

カングーっぽいがちょっと違う。無国籍なムードが漂うリアビュー「普通」という言葉は、良くも悪くもない中庸な表現でありながら、どこか「あまり良くない」というニュアンスを含む。たとえば「お前のクルマって普通だよね」と言われたら、その人は「普通とはなんだよ!」とちょっと気分が悪くなったりするはずだ。だからそれを緩和するために「90点じゃないけど、平均点の60点よりは断然いい。主だった特徴はないけど、まったく不満じゃない」という評価のときに「普通にいい」を使ったりするのではないか。

 

インパネ回りはシックで硬質感のある現代的なデザイン

ダシアの皮を被った
ルノーなのです。

前置きが長くなったが、記念すべき第1回目にご紹介する「DACIA LOGAN MCV」は「普通にいい」という表現がピッタリはまるクルマだと思う。

皆さんご存知の通り、ダシアはルノーが1998年にその傘下に収めたルーマニアの自動車メーカー。で、ロガンは世界戦略車としてルノーの旧型プラットフォームをうまいこと組み合わせて、低価格車として発売した。なので、外見はダシアでも中身はほとんどルノー。乗ってみて交差5速のマニュアルミッションのみ、という割り切りが潔い。5速は高速クルージング用か、ギア比が低く設定されている点を曲がるときに「ああ、ルノー!」、ブレーキを踏んだときに「おお、ルノー!」、ギャップを乗り越えた感触に「これぞ、ルノー!」と、そこかしこにルノーな記憶がよみがえってくる。

 

 

 

ルーテシアオーナーには見慣れたエンジンルーム。バリエーションは1.4、1.6、1.6 16V、1.5dCi 70。当該モデルは1.6 16Vを搭載

ルノーよ、ダシアよ、
よくやった!

低価格車といえども「これのどこが低価格なのか」と言いたいほど安っぽい印象はない。半日乗り回してみても、ネガな部分が見当たらない。「いいや、どこかにあるはずだ」と探してみても、私の乗ってる2000年製の中古車よりも断然しっかりしている(当たり前か)。

そりゃ、エンジンは1.8リッターがいいとか、いやいや、いっそのこと2.0リッターを乗せてロガンサイズは185/65R15で、ポーランドのDEBICAというメーカーのもの。かなりハードコンパウンドな感触RSにすればもっといい、とか無茶なことを言い出せばキリがない(そもそも大金をつぎ込んで100点をめざしているクルマじゃないんだから)。しかし「旧型ルノーのパーツを組み合わせて安いクルマを作る」というコンセプトを通して見れば、まったく不満はない。

乗り味にしても、ホイールベースが長いからルーテシアやカングーよりもさらに安定志向な感じがする。クラッチは軽自動車並みに軽いから、シフトチェンジも楽しい(ちょっと独特なフィーリングもまた良し)。エアコンだってバッチリ効きまっせ! もう寒いくらいに冷え冷え。え、新車だから当たり前だって? まぁ、そりゃそうかもしれないが、新車なんて乗ったことのない私にしては、それはそれは素晴らしいことなのだ。
そう、まさにロガンは「普通にいい」クルマ。個人的な印象では「ルノーよ、ダシアよ、よくやった!」と褒めてあげたいくらい。

3列目のシートは、国産車のおまけみたいなシートではなく、大人が乗っても充分耐えうる注目は……、
されません。

ただ、ひとつだけ「普通にいい」という言葉で表現できない部分がある。それはデザインだ。これだけは「良い、悪い」ではなく「好きか、嫌いか」の世界。“超”をつけていいほどマイナーなクルマなので、街中を走っていてもまったくといっていいほど注目されない。というか、一般の方々はこのクルマのメーカーはもちろん、車名なんか知らないから。でも、いいんだ。マイナー万歳な方々は、100人いても1人だけ「おっ!」と思ってくれればいい。それこそ、価値ある歓びだと思っているはずだから。

3列目シートは取り外しができるが、ポップアップさせた状態でも充分な広さのラゲッジスペースが広がるあえてのロガン。
これぞマイナー派の進む道。

「お、これってなかなか好いんじゃない?」と思ってセレクトしたカングーも、いまや街中ではゴロゴロ走ってたりする。カングーよりもマイナー、しかも安い、もちろん、左ハンドル・マニュアルミッション、さらに7人も乗れちゃう。家族でこんなクルマに気負わずサラッと乗るライフスタイルも、普通にいい。

PHOTO & TEXT / Morita Eiichi

 

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●Dacia Logan MCV Laureate 1.6 16V
全長×全幅×全高/4450mm×1993mm×1640mm
ホイールベース/2905mm
車両重量/1255kg
最大出力/77kW(105PS)/5750rpm
最大トルク/148Nm(15.0kgm)/3750rpm

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5 Responses to “Dacia Logan MCV Laureate 1.6 16V”

  1. rallye より:

    新しいカングーより、きっと良いでしょうねぇ、ここを見てるヒトタチには。
    私も、clio3より、こっちのそれの方が好みです。
    ダチア?、ダキア?、ダシアにしたの?
    帰休日がまたやってきます、今回は、遊びに行けそうです。

    • morita より:

      > rallyeさん
      レア度でいけば、断然ロガンですよね。
      クルマを選ぶときに何を重視するのかは人によって違いますが、
      あえてコレを選ぶというのも、ある意味いいセンスかも。
      発音は……、正直わかりません(笑)。

    • あうあう、お時間許せば、お寄り下さい。
      コーヒーくらいは出ますので。(それしか出ないんですけども。)

  2. BeBop ナリタ より:

    「vive ie minolite!」の記念すべき第1回目なのでしょうか?前回とはフォントが違うけれど,「reno」氏が新車に乗ったことがないなんてことはないから,自分のカンがあたったのでは?だったら,大々的に連載第1回を謳っても良かったのでは?

    • morita より:

      > BeBop ナリタさん
      はい。記念すべき1回目です! これからこのコーナーはmoritaが担当させていただきますので、よろしくお願いします(あ、エントリーに記載者の名前がないですね)。第1回の表記、のちほど追加させていただきます。

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