親戚の家に行ったときの話。そこの家は台所や洗面台などの水回りがとにかく汚い。汚れがこびりつき、カビが生え、まったくきれい好きではない僕でさえ、使うのをためらうくらいだ。「この家の人たちは、よくこんな状況で毎日使っていられるな」と感心するほどなのだが、先日、自分の家で妻から「このバスタオル、もう捨てたら?」と言われ、ハッとした。そのバスタオルをあらためて観察すると、端を折り返している糸が取れてボロボロになっており、色ももともとグレーだったの? と思えるほどグレーだ(もちろん最初は白)。身体を拭くものではなく、大きなウエスですと言ったほうがいい。それを僕は平気で使っていたのだ。何年も。当の本人はまったく気にしていないが、他人から見るとものすごく気になる。僕が使っていたバスタオルは、程度や種類の違いこそあれ、親戚の家のカビだらけの水回りと同じだ。最初は汚いと思っていても、それを継続していれば、それがその人にとっての普通になる。