屋根開き車に永遠についてくるハナシ。
但し、最近の樹脂屋根開きは除く。
布とかビニールなのでね、寿命はあります。
永遠に使えると思ったら大間違いで、縫い目はほつれる、ビニールは縮むし破れる、布はほつれるし破れるし、そのモノ自体の防水性能にも限度がある。開けずにいれば枠の湿気が抜けなくて錆びてくる。錆びて朽ちちゃったら換えるか直すかしなきゃならない。
経年劣化はヒトもモノも平等に来る。10年雨晒しで大丈夫な素材って、布とかビニールであるんだろうか?(オシエテホシイ)
でも、屋根を開けたいという欲求には抗えないのですよ。
とはいえ、ここは極東の島国、最近めっきり気候が亜熱帯化してきて、雨も多い。
そこに住む日本国民は世界に冠たるFussyな人種。
仔細な”乾くだろ。”って漏れも見逃せない気になってしょうがないんです。
対して欧州のヒトは、雨の日に傘ささずにうろついてるくらい、その辺に鷹揚ってか、そういう人達なので・・・降りゃ濡れるさ、そらそうだ。ナンダロウカ?
その辺の軋轢がここに来るんだろうか?
いやでも、程度問題ッスよ。雨ごときで車内に水が溜まってメダカ飼う気はないもんね。
(ほっときゃ乾くくらいはワタシ的には許容範囲ですが。)
さてさて・・・
カブリオレ、スパイダーとか、から始まり、キャンバストップ等々、まぁ様々な呼ばれ方をしますが、屋根開き車。
今でこそ、利便性を考慮して電動であったり、樹脂等の屋根が折り畳まさって仕舞わさったりしますが、布又はビニールのもいます。
一昔前はそっちが殆どでした。
今回はそっちの方、一昔前の布やビニールの屋根、のオハナシ。
まずビニールからいきましょうか。
ビニール、その材質から、耐候性はいいですね、新しいウチはまず浸みてこない。が、所詮ビニール、温度によって、冬は固くなり夏は柔らかくなる。経年劣化でひび割れてくる。動かしていれば余計にひび割れてくる。つなぎ目は大抵溶着なので剥がれてくる。で、旧くなってくると、ビニール、それ自体が水を通してしまう場合もある。
もちろんきっとメーカーもそれ相応の努力はしてきますが、根本的には経年劣化は避けられないでしょう。
布の場合、耐候性はそれそのものは当然しみ込むし、裏面に耐水加工等をしますが、それで概ね耐候性は大丈夫でしょう。ビニールと比べてひび割れはしない。でも、やはり経年劣化は避けられない。縫い目は所詮糸、布自体も糸の集合体、繊維ってか織物なので、いつかはほつれてくる。が、ビニールと比べて耐久性は優れていると思われる。が、いかんせん切った張った縫ったの工数が多いので、ちとおタカイ。
よって、前者から後者に至るに従って、比例して車両本体価格も上がる。幌単品の価格も上がる。車両本体の価格に比例してどっちかを採用している。
が、どっちにしても、いつかは張替を検討せざるを得ない。
まぁそりゃ致し方ないことでしょう。
フィアットパンダのダブルサンルーフ、という名称だが、キャンバストップが前後2枚。
キャンバスといっても、まぁそりゃビニールが前後で二枚、二枚でどぉだ!なので。(笑)
漏れるなって言ったってそりゃ無理!って話もなきにしもあらずだが・・・(モトモコモナイ。)
でも、できることはしなきゃね。
縫い目がほつれてきてるのは、目立つので気にする方が多いのですが、実際針穴から浸水する水の量がどのくらいかは見当がつくと思う。そんな気にしたコトじゃないと思う。思いませんか?
そもそも、ボディー側の縁の”立ち”が縫い目より内側で、高さが結構あるので、針穴からその立ちを越えてダバダバに水が入ってくるってコトはそうそうないと思う。(立ちのウェザーストリップが劣化して入ってくるのはあり得ますよ。握って防水すれば充分カト。)
が、流石による年並み十数年雨風に晒されてくると、ビニール自体が水を通してしまう。コレは為す術無し・・・ヘタにあがくと見苦しいことになる。
ので、張り替える。
布を、ホンダのS2000と同じ(らしい)ビニールを使用。(在庫限り、らしいです。)
オリジナルの雰囲気を壊さず耐候性を考慮して。
骨を止める、本来リベットのある部分は、穴空けるのを避けて、穴空けず骨を止める、絶妙な技法で縫製してあります。フーン、トオモウ。
でも、材料代が高いし、作業工数もそれ相応、台数こなしていくうちに次第にヴァージョンアップしてたりして、だから結局南極、それ相応な値段になっちゃうわけですが。
今敢えてパンダに乗ってますと胸張って謳うのであれば、見苦しくないようにしたいかな?と。
安いからガマンしてカッコだけで乗ってマス、じゃ、余りに寂しいので。
ちなみに余談、この緑の方ののパンダのキャンバストップ、ステッチが車体色に合わせて緑になってる。
よっくみないとワカラナイ。別に指定した訳じゃないんですけど・・・職人さんの洒落かなぁ?
(訊いてみたら、”たまたま緑の糸があったもんだい・・・バレタカ。”って言われました。)
ここに出てくるRENAULT 4 GTLのターコイズの方は、ちょっと希少な純正キャンバストップ(Webasto社製後付ではない)を、布で張り替えてある。
(実際、たぶん、この純正キャンバストップは、’84あたりまでだったじゃないかなぁ?という、ヨンさま豆知識。(ウラハトッテマセン))
まぁそりゃ、コスト的にはねぇ・・・でも、好きで乗ってるクルマだから、そういうトコ手抜きしてどうするの?カッコワルイじゃんかさ。
同じく、屋根開き車の幌もそう。
私のトコ、割と私が嫌いじゃないモノですから、屋根開き車は少なからず居る。で、決して新しいクルマばっかじゃないから、経年劣化が避けられない場合もあり・・・
フィアット バルケッタとか・・・
フィアット・バルケッタ・リミテッドエディション。
幌は純正品はビニールなので、旧くなってくると結局、縮んで破れて見苦しくなっちゃう。
ので、張り替える。折角だから布で。
このように布で作る即ち、ワンオフ現物あわせで作ることになって、殊の外高価で工期もかかりますが・・・ですが・・・折角なんで・・・
オリジナルより耐候性と耐久性を考慮して、布で作成。色はオリジナルを考慮しながら、でも全く同じ色は全く同じものではないのでないので、近い色で。
ボディの赤みがかった黒メタと、内装の赤レザーで総合してみると、”エロい。”
リアスクリーンは褪色しなさそうな、それ専用の、結構いい材料を使っています。(北米のメーカーだという話。)
FIAT Punto Cabrioも張り替えたことあります。
破れたビニール撤去して、まんまそのまま近い色で、布で・・・これがまた純正が凝った作りしてて、裏地までついてて、しかも電動でしょ?結構高かった・・・
Alfa Romeo Spider Touring 2600(でしたっけ?未だ正しい呼称を知らない・・・(恥))
の、張り替え前と張り替え後。黒のフツーの幌が傷んで補修してちょっとかなり無精ったくなってたのを、内装の赤を踏まえて、臙脂色の布で張り替えました。エロさ倍増♪
各部、凝ってるのですが、画像じゃわかんないんですけどね・・・
けど、どう考えても、ホロがボロくてぶしょったい、を我慢するよりはよいかと。
ココに出てくる、Talbot Samba Cabrioletも張り替えてます。コレは弊店で請け負った仕事じゃないですが・・・
RENAULT 5 Cabrioletも、この手法で幌をワンオフで作り直しました。張替敢行前と後。前は、もうビニールは朽ち果てて、とりあえずの補修のあとが悲惨さを演出します。リア窓に至っては悲惨に飛散してます。
これを、オーナーさんのご指示で、内装色に合わせてグレーで。職人さんが、布二枚で継ぎ目は角の部分のみで創った逸品。
が、そこに掛かるコストがどうしても存在する。その分車輌代が高くつく。ボッタクッテルって言われる。
まぁ、そのまま乗るって豪快な方が見えれば、それはそれでお好みで、で、いいのかもしらんのですが、それはちょっとあまりにみすぼらしいと思う。
ので、多少高くついても、やりますよ。
結局、各車、現物合わせで創ってます。
なので、どれも、結構な価格しますが・・・その満足感たるや、イイヨー。
幌屋さんもやはり本職なので、適宜いろんな細工があったり。後の透明ビニールも耐久性を考慮して安からずな一級品使ってたり。
うん、でも、屋根開き車はカッコつかないと意味ナイよね。手抜きは程々にしておかなきゃ。
でプジョー306カブリオレ。何故敢えて上記作ったものと分けたかというと、この場合は既製品幌なんです。イチから作るよりは若干なりとも安価。あるものは既製品幌を使う場合もあります。
天井でもそう、椅子でもそう。ヘンにガマンしたければ止めませんが、それに気を病んでるくらいで貧乏くささを演出してるより、えいやっと張り替えちゃった方が、カッコイイですよ。
幌屋さんも言っていた。こういう、気持ちイイ仕事って最近減ってきた。コスト優先だったり・・・でも、たまにその車に思い入れのある人は、こういう気持ちイイ仕事が出来ると。
まぁ、うち、そんなんばっかりなんで・・・
今、国産のコンパクトなオープンを狙っていますが…
幌車も候補でして…
リヤウインドがガラス製だったり、電動の幌でもワンオフ製作は可能でしょうか?
別に洋の東西は問いませんよ。
電動だったりリアがガラスだったりすると、それ相応に工数が増えるだけですので、どうぞご相談下さい。