10月15日(土)、16日(日)の両日「フレンチブルーミーティング(以下、FBM)」が長野県・車山高原で開催された。土曜日はあいにくの雨模様となったが、日曜日は天気が回復し、日中は半袖で過ごせるくらいのポカポカ陽気に。永くFBMに参加されている方は「こんなに暖かいのは初めてかも」と話すほどの天気に恵まれた。
さて、ヴィブル・ミノリテは昨年同様、FBMに参加したクルマをチェック。会場をグルッと回りながら、おもしろそうなクルマを3人(スズキさん、ニシカワくん、私モリタ)で物色してみた。
Morita(以下、M):いやぁ、それにしても晴れましたね。
Suzuki(以下、S):晴れたねぇ。
Nishikawa(以下、N):僕らは強烈な雨男なはずなんですけどねぇ。近い話だと「ミラフィオーリ」なんか大変なことになってましたし。もしかしたらあれでパワーを使い果たした?
M:いやいや、こういうところで発揮しなくていいですから。
N:ま、いちおう水たまりくらいは残したってことで。
M:んでは、メイングランドの端から行きましょうか。
M:SiFoさんのカングー・エクスプレス・コンパクトですね。
N:1ナンバー取るのに苦労されたらしいですよ。
M:これ、リアシートが付けれたらいいんだけどなぁ。
N:バンパーが塗ってないと、思わず某国産車に間違えそうになりますね。
M:これ、なんですか?
S:Y10でしょ。フランス車じゃないけど。
M:ああ、そう言われれば。
N:なんかすごく頑張ってる感じがしますね。
S:顔はやっぱノーマルのほうがいいなぁ。
M:こういう国籍不明な感じも好きですけどね。
M:406スポールです。
N:後期型ですね。これが出たときどうしても前期型と比べてしまって「何だかなぁ」と思ったんですけど、いまになって見ると後期型もなかなかいいですね。
M:そうですねぇ。
N:外観もいいんですけど、内装もいいですよ。これ、ウッドパネルが付いているんですが、ただの茶色じゃなくて若干青みがかってるんですよ。
M:あ、ほんとだ。角度によって青っぽく見えますね。
N:だからこの青を活かすために外装色は青を選ぶのがベターです。
S:エスパス3と4だね。
N:これ、エアコンの操作パネルが運転席の左前ダッシュボードに付いてたりしておもしろいんですよね。ルーバーもダッシュを一直線に横切っているし。
S:マトラの樹脂ボディは3が最後なんでしたっけ?
N:そうそう。そういえば英国のトップギアでルーフ切って走ってたなぁ。
S:2003、4年あたりユーロがけっこう下がったときがあって、エスパスの新車も400万円を切ったことがあって。そのときは売れたんだけどねぇ。いまもかなりユーロ安なのに売れない。みんなお金持ってないんだよね、きっと。
M:DS3です。こういうクルマがFBMに出てくるようになりました。
N:ヘッドライトカバーの色、青というか、緑というか、これ純正なんですかね。
M:純正は普通のクリアだと思うんですけど……。
N:ホイールもかなり意匠性がありますね。切削面を出してる感じはいままでのシトロエンになかったなぁ。
N:ホイールといえば、このRSのホイール、好感が持てるなぁ。
M:どんなところが?
N:見た目もかっこよくて、かつ洗いやすそう。
M:あー、それ大事。かっこいいけど、洗いにくいヤツはいかんですね。
N:かっこよくてもブレーキダストで汚いと良さが半減しちゃいますよ。
M:306マキシです。
N:これ、N5のヘッドライトレンズですね。
M:スペーサーでタイヤ出してないみたいですね。
S:どーだろ。ホイールのオフセットで調整してるんじゃない?
M:あ、そうか。そういう可能性もありますね。
N:ダッシュボード、きれいですね。306のダッシュボードは古くなるとかなりの確率で浮いてきちゃうんですよ。
M:へぇ、そうなんだ。
M:カングーの特別仕様車「クルール」ですね。
S:この色に乗るのはなかなか勇気がいる……。
N:若いおねーちゃんか、ちょっとお化粧の厚いマダムが似合いそう。
M:(笑)。ブルークレールメタリック(青)、オランジュアンダルー(橙)、ベールジャルダン(緑)。そしてこのローズ(ピンク)は全部日本市場限定なんですよね。しかもローズだけ30台限定だから希少です。
M:この406、すごいリアスポが付いてますねぇ。
N:セダンのリアスポは大事ですよ。
M:なんで?
N:バックするときに目安になるからです。最近のはリアのダッシュがトランクレベルより上にあるクルマが多いから、後ろ向いてもどこまでバックしてるのか、ぜんぜんわかんない。
M:なるほどぉ。
M:パルトネールとベルランゴです。
N:ちょうど真ん中で分かれる観音開きなんですね。律儀にハイマウントストップランプまで分割されてる。
M:ベースは306なんですよね。最初、写真で見たときは先代カングーくらいのサイズ感なのかなぁ、と思ってたんですが、実物はけっこうデカいですよね。
S:当時はパルトネール・ベルランゴよりカングーが小さかった。いまでは同じくらいのサイズになったよね。ということは向こうの人からするとカングー1はやっぱり小さかったんだろうねぇ。
N:205ラリーかな?
M:いや、GTiじゃないですかね。ラリーだったらシートベルト赤いはずなんで。
N:そっかぁ。フロントのキャンバーの付け方とか、フェンダーの感じがいいですね。こういう感じ、フランスの郊外に住んでるヤンチャな人たちが乗ってたクルマの雰囲気に似てます。
M:“もっとも美しいフランス車”、406クーペです。
S:なぜか3日だけ所有したことのある406クーペ。やっぱこのルガノグリーンだよね。
M:同じく!
N:ええ、そうですか? 僕はシルバーがいいなぁ。
M:2対1(笑)。
N:このホイール、ピニンファリーナの70周年記念モデルで、フランス国内で1,200台販売されました。まぁ、ホイールだけでも買えたのでアレですけどね。
M:このクルマは他のプジョーと違ってピニンファリーナが企画・製作したんですよね。日本に導入されて13年経ってるクルマですが、いまでも色あせない美しさがあります。
M:ルノーの異端児、アヴァンタイムです。
N:これ、車体番号的に言うとルノーではなく、マトラなんですよね。VF1がルノー、VF3がプジョー、VF7がシトロエンなんですが、アヴァンタイムは「VF8」でマトラ。まぁ、エスパスがベースですからね。
M:ちなみに日本での最初のオーナーはあの曙だったりします。
M:アルピーヌV6ターボです。
N:プジョー、ルノー、ボルボによって共同開発されたV6の「PRVエンジン」を積んでいます。デロリアンもこれと同じですね。とにかく発熱量が高くって、エンジンフードの内側に排熱用のファンが付けられたほどです。で、エンジン内の熱風はどこにいくのかというと、リアタイヤの後あたりから地面に向かって排気されます。路面が濡れてるときにエンジンかけっぱなしにすると、リアタイヤの後が最初に乾いていくという……(笑)。
M:プジョー605です。アメリカーンな感じになってますね。
N:これ、XMと兄弟車なんですよね。
M:XMという名前が出てきた時点でヤバそうですね……。
N:まぁ、XMほどではないにしてもね。外観からすぐに分かるもんでもないんですが、前期と後期があって、前期はPRVの3リッターV6、後期はクリオV6とかに載ってる新しいV6エンジンを積んでいます。手を出すならやはり後期型でしょうね。
M:基本的にフレンチセダンってコンサバティブですよね。それをそのまま踏襲したのが605な気がします。シンプルで無駄がなく、端正な佇まいで飽きがこない。ピニンファリーナのデザインって、やっぱいいなぁと思います。
M:505のSW8、初めて見ました。
N:バンパーが大きいので北米仕様でしょうかね。ちなみにSW8の「8」は8人乗りの意味です。
M:オーナーの方曰く、アメリカにまだまだパーツがいっぱいあるので、部品のほとんどはアメリカから持ってくるんだとか。それにしてもセダンの505よりかなり大きく見えますね。
N:306の前期型N6ですね。
M:ものすごい普通な感じがいいです。
S:306はXTとかSTがかなり好き。絶対XSiよりはいいと思うんだけどなぁ。
M:素なグレードのほうが魅力的ってことですかね。
N:さっきのルーテシアRSのホイールと同様、このホイールもすばらしいデザインですね。スクープホイールのようにも見えるし、スポークのようにも見える。ずっと使われているだけあってシンプルで深いデザインだと思います。
M:同じくカブリオですね。
N:ピニンファリーナのデザイン。シュッとしてる佇まいがいいです。
M:シトロエン・ヴィザのクラブです。
N:このグリル一体型バンパーが泣かせますね。
S:やる気のなさが最高。
M:日本に入ってきているヴィザはGTだけなので、これは最初期の並行ものですね。AXの前身なのでSAXOのおじいちゃんに当たる存在でしょうか。
N:それにしてもこのサテライトスイッチ、スゴすぎます。これが使いやすいと思ったんでしょうかね。
M:いちおうプジョー104がベースですが、こういうところはシトロエン独自の世界観で仕上げていますよね。愛らしいクルマです。
M:サンクのバカラです。
N:サンクファンの人に怒られちゃうけど、僕、サンクってあんまりかっこいいと思ったことないんですよ。でもこうやってしっかりしたクルマを見ると、素直にいいなぁ、と思っちゃう。
M:全塗装されてますもんね。見た目でパリッとしてる。
N:ツートンの下側、黒っぽく見えるけど、深いグリーンメタリックなんですね。こだわりを感じます。
S:うーん、ワタシはこの塗り分け、いやだなぁ。バカラは同色であってほしい! だってバカラだもん。フラッグシップだもん!
M:GSです。リアに1220とあるから西武の正規ものですかね。
N:これ、どうみても2ボックスでハッチバックっぽいけど、後ろのガラスは開かないんですよね。ちゃんと独立したトランクを持っています。
M:白髪の老夫婦が乗っていましたが、似合いすぎてます!
M:これ、なんですか?
N:なんですかって、3008ですよ。
M:これ、正規ですか? こんなのありましたっけ?
N:ありますよー。4007は三菱のアウトランダーがベースですが、これはれっきとしたプジョー車です。308がベースですね。
M:そうなんだー。新しいのに疎いのがバレました……。
N:左右独立調整式エアコン、クルーズコントロール、ヘッドアップポップアップディスプレイ、後席用送風口、自動防眩式ルームミラー、6エアバッグ、ESP……装備満載です。
M:DS3レーシングです。
N:並行モノはこういうところに車体番号がありますよね。
M:これはなんで?
N:単純に盗難防止のためです。
M:へー。
N:まぁ、サンドブラスト当ててるだけなんですけどね。
M:で、DS3については?
N:うーん……速そう(笑)。
S:アウディTTですか?
M:ち、違いますっ! RCZです。
N:ボンネットの取付けヒンジ近くに筒みたいなの、ありますよね?
M:またニッチなところを……。
N:あの筒の中には火薬が入っているんですよ。正面衝突したときに火薬の爆発力でボンネットを上に持ち上げて歩行者を守るというシステムらしいです。
M:ほ、ほんとですか?
N:ほんとですって!
N:マジものの206GTです。
M:世界限定4,000台のホモロゲモデルですね。
N:ベースはS16で前後バンパーを大きくして寸法を稼いでいるんですが、いかんせん不恰好ですよね。
M:そこがいいと思うのは「ホモロゲモデル」という特別感によるものでしょうか。
S:左マニュアル原理主義者としては、前後パンパ―をフツーのに換えて、左マニュアルのS16として乗りたい……。
M:306SRです。これもレアですね。
N:バッチバックの306STとセダンの306SR、2.0と1.8で排気量くらいしか違わないかと思ったら、リアのドラムブレーキの形式が違うんですよ。SRのほうがバラしたり、ブレーキシューの交換をするのが簡単でしたね。
M:ニッチな情報ありがとうございます(笑)。
M:ソレックスのモペットですね。そういえばRENOさんの事務所にもありますね。黄色いのが。
S:あれ、どんだけ頑張っても30km/h以上出ないんであきらめてますが。あ、これ電動なんだ。
N:みたいですね。25~35km/hの速度で1時間半(1回の充電)ですって。19万8,000円。
M:とりあえずこれなら30km/h以上出そうですよ。
M:これ、なんですか?
S:ルネボネのジェットですね。いや、マトラかも。世界初の量産ミッドシップで、エンジンはR8をベースにしてるみたい。
M:へぇ、初めて見ました。
N:いかにもフレンチな感じがするし、どっかアルピーヌA110に雰囲気が似てますね。
M:希少車、BXスポールです。
S:1.9リッターにツインキャブ、ボビンメーター、ブリスターフェンダー、リアの斜めに切れ上がったスパッツなどが特徴だね。ツインキャブとはいえ、出力的にはスポールと謳うほどじゃないと思うけど、まぁ、このかっこうだけでも価値はあると思う。
S:これはラグナベルリーヌ。大人の車だよねぇ。2.0リッターのターボで205馬力、マニュアルの6速。「4コントロール」と呼ばれる四輪操舵がついてて、大きさの割にミョーに曲がる。車庫入れが楽。で、80Km/hくらいで位相が切り替わって、高速域だとレーンチェンジが早い早い。でもあんま違和感がない。イイクルマですよ。
M:四輪操舵、体験してみたい……。
S:で、それに「Pack GT」ってパックオプションをつけて、スポーツ仕様の装備をつけて、オプションのデカいホイールを履かせて……。ちょっとスポーティー仕様、ってかラグナのなかでは最強モデルにした逸品ですねぇ。メガーヌのRS乗るより大人ですねぇ。だってワタシ売ったんだもん。ってか、お客さん買ったんだもん。ワタシはあんまシランですよ。
M:2CVの限定車フランス3です。
S:これ、なんでフランス3っていうのかね。
M:話によると、アメリカズ・カップというヨットレースで「フランス3艇」が優勝した記念としてその船と同じカラーリングで2CVをつくったらしいですよ。
S:限定車といえば、ペリエの限定車があるのも知ってる? ボンネットにニョロニョロっと線が引いてあって、それをたどっていくとペリエのマスコットキャラクターであるゴリラが筆持って書いてるってオチ。
M:ああ、写真で見たことがあります。なかなか遊び心がありますよねぇ。
M:ルノー・トラフィックです。商用車だけどかっこいい!
S:もともと商用車なんで日本で乗用車として使えるようにするためには、エアコンつけたり、なんだりとけっこう大変なんだよね。フル装備にするとエスパス並みの値段になるかも。
M:商用車はなかなか難しいんですね。
M:ん? なんか気になります?
S:いやぁ、このトレーラーが……。もしかしてAPEの後ろ半分?
店の方:これはイタリアのエレビというメーカーのトレーラーです。軽登録ですね。慣性ブレーキも付いているんですよ。
S:おお、それはいいかも。
M:というか、APEぶった切ってできそうですね。
S:ぶった切るくらいならApeそのまま牽こうかしらん。あ、ハブが高速で長時間持たないかなぁ……(妄想)。
M:なんか違和感のあるトゥインゴ。
S:ホイールがサンクGTターボのを履いてるからかな。でも案外似合うなぁ。
M:ああ、そう言われれば。どっかで見たことのある形だなぁ、と思ったけどGTターボのかぁ。
M:さぁ、帰ってきた帰ってきた。お疲れさまでした。じゃ、スズキさんに今回の総括を。
S:気のせいかもしれないけど、年々刺さるクルマが少なくなってきたなぁ、と思う。いや、気のせいではないな。むしろ当然か。だって古いクルマはこれ以上増えない。新しいクルマは当然増えていく。だがしかし! ウチらは新しいクルマにあまり興味がない! 否、新しいどこにでもいるクルマに興味がない……だけなんだよねぇ……。
M:たしかに。
S:来年は何か違う企画考えないとね。
というわけで、いまいち乗り切れず、テンションの低かった今回の「フレンチブルーミーティングの(偏った)楽しみ方2」。あ、そうそう。内容はその場のノリでしゃべっていることが多々ありますので、多少は間違ったことを言ってる可能性もありますが、ご容赦ください。あとFBMにご参加した皆さんのお車、勝手に撮影しちゃってすいません。もし「載せないで!」という方がいらっしゃればご連絡ください。すぐに削除いたします。
PHOTO/Morita Eiichi, Yamazaki Hiroki
TEXT/Morita Eiichi