【CROSS TALK】クルマ屋さんがオイルの疑問をオイル屋さんに問う回(後編)

前回に引き続き、オイルの話の後編。日頃オイルに関する疑問を抱いていたRENOスズキさん。今回もルブロスで知られるユーロリサーチ代表・永野さんへの追及は止みません。後半はミッションオイルについても言及。この詰問会は無事に終わりを迎えるのか!? はじまりはじまり~。

最近、オイルを食うエンジンが多いような気がするけど、なんで?

S:最近、オイルの消費が激しいエンジンが増えてきているような気がするんだけど、それはオイル屋さんからするとどうなのかな、というのが気になるところ。たとえば、某国のカーメーカーのクルマは、オイルが行方知らずになることが多い。白煙を噴くわけでもない、黒煙を噴くわけでもない。だけど5,000kmも走ると1リットル以上減る。メーカーは1万kmに1回のオイル交換を推奨してるけど、その1万kmの間にオイルを補充することになるよね。そのくせ、オイルパンの容量が大きくないから、これ、オイル交換する必要ないじゃんって。あれってオイルが上がってるんだよね?

N:上がってると思いますね。

S:だよね。ピストンリングよりも上で燃えてるってことだよね。これは某国の他のメーカーの話だけど、そういうのはワザとやってるのかな?

N:う、うん……。ワザとやってるというのは聞いたことがあります。

S:ワザとやってるとしたら、ひどくねえかって。

N:なぜ食わしてるかっていうと、オイルを2万kmとか2万5000km無交換と謳っている以上、食わして足していかないときれいなオイルを維持できないから、という理由なんですよ。

S:姑息だなぁ~。僕はドイツ車、あんま好きじゃないけど、もっと善意的な解釈してたよ。クリアランス広くつくると、摺動抵抗が少なくなるからレスポンスが良くなる、みたいな。

N:まぁ、結果的にそうなるかもしれないですけど。でも、オイルをわざと食わすという考え方でつくってれば、ピストンリングは張らなくなる、というか張らないようになってる。密閉性の良くない状態がずっと続くというか。でも、初めからそういう設計でつくられているエンジンは別にして、オイルを食うクルマっていうのは、いいオイルを集中的に、それこそ1500kmごとに3、4回とか、そういう周期で換えていくと、改善することがあるんですよ。

S:ほう。それはどういう理屈でそうなるの?

N:ピストンリングがはまっている溝にたまってるスラッジとか、そういうのが取れていくんですよ。そうするとピストンリングが本来の動きや張力を取り戻し、密閉性が上がる、とされています。あくまでも推定ですけど。

S:ああ、そういうことね。

N:あと、クリアランスが広いエンジンって、オイルが燃えてっちゃうんだけど、重要なのはその燃え方。当然、きれいに燃えるほうがいいわけで。

S:なるほど。

N:その点、シュペールノヴァは、すごくきれいに燃えますよ。

 

純正指定されているオイルの性能ってどうなの?

S:一般的なエンジンって、気化したガソリンを吸い込んで燃やしてるけど、直噴エンジンの場合は気筒内に直接噴射してる。でも、それだとシリンダー内壁の油膜を維持できないんじゃないの? ガソリンを噴霧することで油膜、取れちゃわない?

N:弱くはなりますよね。洗われちゃうので。

S:そうだよね。でも、燃費とか排ガス対策を緻密にやろうとしたら、コントロールしやすい直噴のほうがいい。でも、オイルの視点からすると、直噴エンジンでもしっかりと油膜をつくれるオイルにしなきゃいかんってことになる。

N:そうですね。

S:気筒内壁をガソリンで洗っちゃうから、油膜が維持しにくい。すると密封性能も下がる。メーカーってそんなこともちろん分かってつくってるんだろうけど、なんかその考え方が納得できないんだよねぇ。そのせいもあって、うちは直噴エンジンのクルマを積極的に選ばないし、お客さんも少ない。

オイル屋さんから見て、そういう直噴エンジン用に油膜性能を保持できるオイルを純正指定してると思う?

N:たぶん新車に入れてくるオイルは割といいものを入れてると思う。でも、アフターマーケットのオイルはいいものとは言えないかなぁ。

S:まぁ、それはそうだよね。でも、気になるのは純正指定のオイルのクオリティ。あれってどうなの? 僕の感覚的には、新車のときにはじめっから入ってるオイルって、最低限のクオリティじゃないかと思ってるんだけど。

N:うーん。以前、ミツビシの純正オイルを調べる機会があったんですけど、意外とちゃんとしてましたよ。まぁ、標準的というか。バランス重視でとがったことはしてないオイル。めちゃくちゃ悪いオイルではないです。

S:じゃあ、それよりも上のものを入れれば、体感的にも数値的にも良くなるはずだよね。純正が無難なオイルなんだから。

N:まぁ、そういう感じですね。

 

アフターマーケットのオイル、あれもどうなの?

S:いわゆるジャバジャバ使う系のオイルってのがあるんだけど、ああいうオイルって純正と比べてどうなんだろう?

N:まぁ、良くはないでしょうね。実際、安いドラムオイルを炙るとすぐ焦げるので。

S:まだ純正のほうがいい?

N:そうですね。

S:やっぱそうなんだね。他の店は「うちは国産の軽自動車オーナーが多いので」って言ってそういうオイル置いてるようだけど……。まぁ、国産軽自動車にそういうオイルを入れても壊れることはないか。

N:いや、軽自動車は普通車の倍くらいエンジン回してるわけだし、環境としては普通車よりも過酷かもしれないよ。エンジンの中見ると、オイルがヘドロみたいになっちゃってるのもいるし。

S:そうなると、国産車屋さんは純正相当のオイルをリッター単価1,500円くらいで提供してるのが一般的なのかなぁ。

N:そんなもんでしょうね。

S:あんまり言っちゃいかんかもしれないけど、うち、高いオイル多いじゃない? とあるお客さんが他の店で「リッター4,400円のオイル入れてるんですよ」って話したら「騙されてるとしか思えない」って言われたって(笑)。

N:(苦笑)

S:これはね、オイルに対する見方や基準がぜんぜん違うんで。それこそリッター1,500円のオイルを提供している店からすれば、騙されてると思うのも無理はないよね。

N:そうですね。それは店によって雲泥の差がありますよ。

S:僕らはいろんなオイルを使った結果、これ、いいよねってオイルにたどりついてるんだから。

 

エンジンオイルで、エンジンはきれいになるの?

S:オイルは定期的に交換しなきゃいけない。その理由は、大雑把に言うとオイルが劣化して粘度を維持しにくくなるから。劣化はせん断と温度変化によって引き起こされるから、それらにどれだけ耐えられるかは、ベースオイルと添加剤の性能や配合によって決まる。添加剤は使用していくにつれ、その性能が劣化していくんだよね?

N:そうです。なくなるわけじゃないので。添加剤ってけっこう難しくて、洗浄剤と言いながら、極圧性能も持ってるものもあるんですよ。

S:へー。複合的な性能を持ってるのもあるんだ。

N:シュペールノヴァだと、油性向上、酸化防止、摩擦調整などの添加剤が入ってます。

S:そういう添加剤を入れることで、初期性能を長く維持できるというわけね。その洗浄剤なんだけど、たとえばね、性能の低いオイルを入れてて、チョイ乗りばっかりしてるクルマって、カムカバーとか開けると、とんでもないことになってたりするよね。あれってさ、どうやってもきれいになる気がしないんだけど。いくら洗浄剤が入ってるからといって、コテコテになっちゃったやつはきれいにならないよね?

N:溶剤できれいになることはないね。たとえば、洗浄液を噴霧したからといって、汚れが溶けて流れていくということはない。対策としては、上等なオイルを入れることで金属と汚れの間に徐々に浸透させて取るという方法。さっきも言ったけど、短いサイクルでいいオイルを数回交換していけば、汚れが取れる可能性は高くなるよ。

S:じゃあ、前のオーナーがオイル交換さぼってエンジンの中が汚い場合でも、VHVIくらいのベースオイルを使ってるのを短いサイクルで換えれば……

N:それくらいじゃきれいにならんね。

S:じゃあ、どうすれば?

N:ルブロスのGスペック以上を使うときれいになります。

S:そ、そうですか……。ちょいちょい宣伝してくるね。

N:だって、経験上、それしか言えないんですもん。

S:まぁ、開けて掃除すればいいとは思うんだけど、コテコテになったのをパーツクリーナー噴いても取れないもんね。

N:うちのお客さんで、ルブロスのGスペック入れて2日かけて青森の大間まで往復したらエンジンきれいになるかっていうのを試した方がいて。やる前にオークションで買ってきたばっかりのチェイサーのエンジン内を確認してから往復3,000km走ったんですよ。確認したのはヘッドの部分だけですけど、確かにきれいになってましたよ。

 

オイルの交換時期って、やっぱり距離とか期間で測るしかないの?

S:僕はオイルはとても重要だと思っていて、ちゃんとしたものを使いたいと思ってる。でも、新車からまっとうなオイルを使ってると、オイルの劣化の具合が分からなくなってくるんだよ。むかしは目視とか触感とかで分かったけど、いいオイルだとそれが分かりにくくなる。フィラーキャップを外してみたら真っ黒とか、そういうこともないし。オイルを交換するサイクルの基準が、距離と期間しかなくなってるんだよね。

N:ふむふむ。

S:シュペールノヴァを永野さんにオーダーしたとき、1年1万kmは使えるオイルにしてくださいってお願いしたんだけど、その一方でいまだに3000kmで交換してくださいってオイルもある。まぁ、それは納入単価の問題もあるかもしれないけど……。そういうオイルを使うとむかしみたいに真っ黒になったりするのかな?

N:なるでしょうね。そういうオイルの良くないところは、オイル交換して次にいいオイルを入れても、エンジン内にオイルが残っちゃってるから、いいオイル入れてもその性能を充分に発揮できない。

S:ああ、なるほど。じゃあ、いいオイルを入れたら、それを継続して入れ続けるのがいいってことだね。

N:そういうことですね。

S:たとえば2年くらいオイル交換忘れてたようなクルマなら、エンジンの音とかオイルを触った感触で劣化具合が分かるだろうけど、そういうのではない限り、いまどき1万km超えたからってエンジンがガラガラ言い出すとか、回り方がザラザラするようなオイルってないよね?

N:まぁ、そういうひどい状態になるのはほぼないよね。

S:安いオイルだとそうなる?

N:そういうのもあることはあるけど。

S:じゃあ、交換はシュペールノヴァの場合だと1年1万kmだけど、オイルごとの交換基準に則ってやってればいいってことだね。

N:シビアコンディションだったら、ちょっと交換サイクルを早めたほうがいいね。

S:ガンガン回すとか?

N:うん、チョイ乗りばっかりしてるとか。

S:反対に距離乗ってるけど、高速道路ばっかりとかだとそんなに劣化早くないもんね。

N:そうですね。

 

ミッションオイルって、とにかく滑るものがいいの?

S:ここからミッションオイルの話に行きたいんだけど……。

N:ミッションオイルなんてそう大した話ないですよ。なんか困るような質問しないでくださいね。

S:まぁ、オイル屋さんからすればそうかもしれないけど、一般の方にもわかりやすいようにね。

N:なんかこわいなぁ……。

S:じゃあ行きますか。ミッションオイルって、大きく分けて2つの相反する性能を持っていると思ってて。滑らせる性能を持たせながら、LSDみたいにギアが噛んだら噛んだ状態を維持する性能もある。この真逆な性能をどうして持ち得るの?

N:動摩擦係数を上げる添加剤と、静摩擦係数を上げる添加剤があって、それぞれの添加量によってバランスを取っているんですよ。

S:なるほど。そもそもの話なんだけど、エンジンオイルもミッションオイルも成分的には大差がないって聞いたんだけど、ほんと?

N:元の元をたどれば、オイルなんでそりゃ大差ないですけど、つくりはぜんぜん違いますよ。

S:そうだよね。基本的に一緒だっていう人がいたんで。添加剤で使用状況に合わせたチューニングをするのは、エンジンオイルと一緒のセオリーだとしても、成分的やつくり方は違うんだよね。ミッションオイルも、また最初の話になっちゃうんだけど、感覚の話だよね。いまのユーザーさんはツルツル滑れば滑るほどいいっていう価値観なのかな? 僕はそれがあんまり好きじゃないんだけど。

N:うーん、でもいろんな意見を聞いてると、カッチリした軽薄じゃないフィーリングを好む人も多いですよ。

S:そうなんだね。トランスミッションって1速から2速に動かす間でも、噛んだギアが離れてニュートラルになって、2速のシンクロに当てて、ギアの頭を合わせてから噛ませて、それを維持するというのを割と短時間でやってる。意外と要求されてる機能・性能は高いよね。他社のミッションオイルが入ってるクルマを乗ったりすると、ひたすら滑らす系が多いような気がして。感触が乏しいんだよ。

N:ふむ

S:マニュアルミッションって「よく入るね」も必要だけど「それは入りません」も必要だと思う。

N:その「入りません」がいつかってのが重要だね。

S:うん。回転が合ってないのに無理やり操作をしたときとか。

N:ああ、それは大事だよね。

S:ツルツル滑らす系オイルだと「やっちゃいけないこと」を「やってしまった」ときの体感が薄い。僕みたいなおっさんに言わせると、由々しき事態だなと思う。あんなオイル使ってたら、みんな運転下手になっちゃうよ。「それは無理!」って機械側から言われるようにならないと。

N:ああ、それに関係することかもしれないけど、以前、レースに参加してる人たちと話してたら「ヒールアンドトゥなんて、しないよね」って言ってるんですよ。シフトダウンするときって下のギアに入りやすいように、回転合わせるじゃないですか。でも、そんなことしないでグイっと放り込んでるって。ちょっとビックリしましたね。

S:それさ、回転合わせずに入れようとすると、いやな感じするじゃん? そういうの感じないのかな?

N:ないんでしょうねぇ。

S:ミッション、保たないよ、そんなことしてたら。でも、オイルとか機械の構造で無理を可能にしちゃってるところもあるんだろうね。でも、クルマに無理をさせてタイムを出しても気分良くないんじゃないかなぁ。それで速いのは正攻法じゃないよね。

N:パソコンのタイピングで5本指使えないけど、速いみたいな(笑)。

S:それを言われると、僕は3本しか使ってない……。

N:僕も(笑)。

 

僕は「あ、これやっちゃいけないんだ」ってのが分かるオイルがいいと思うんだけど、どう?

S:オイルメーカー的には、回転が合ってなくてもギア鳴りさせずに入れたいってのがお客のニーズなら、それに沿ったものをつくるのが正義なんだよね?

N:まぁ、そういうものをつくっておけば楽ですよね。最近、LSD入れる人でも音がうるさいっていう声があるんで、それを解決するべく、そういうオイルをつくったんですよ。ただ、実際につくってみたら、それがシフトフィールの向上にも貢献してくれて。

S:滑らせる性能と音を止める性能がいい感じに両立できてるってこと?

N:ええ。いままで求められてきた「入りが渋いからやわらかくしてほしい」っていうニーズも高粘度のまま、気持ちよく入れれるようなオイルになったんです。

S:それは無理を可能にしてる?

N:うーん、それはちょっと分からないんですけどね。それ使ってミッション壊れたという話は聞いてないんで。

S:だいたいシフトフィールが渋いっていうのは、クラッチがちゃんと切れてない状態で動かそうとしているか、回転が合ってないか、適切な使い方じゃないときに起こるもんね。高性能なミッションオイルって、冬場の朝一なんて渋くて当たり前だもん。それは「冷えているうちに無理するな」ってことだからって、お客さんには言うんだけど、それを認めない人もいて。

N:LSD入ってないのだったら、オイル自体をやわらかくしてやれば……。

S:でも、そうすると僕は人間古いんで、これ、保つかなぁって思っちゃう。ミッションオイルに求めている要件は、その棒の向こう側で何が起こっているのかが分かるもの。あ、噛みだしたね。ここまで噛んだねっていうのが、最近はワイヤーだと分かりにくいけど、むかしのシャフトのリンケージだと分るよね。そういう情報を伝えてくれるオイルがいいと思ってる。

N:本日、最大の感性、感触の話だね(笑)。

S:でも、とにかくスムーズさを要求する人に、それはない。ただそのストロークが短いほうがいいっていうことに価値を置いてるんだろうね。でも、その短い間にやらなきゃいけない仕事があるんですよ。それを助けるのって、オイルしかない。その上、扱いが下手だったら機械がめげるしかない。

僕はやっぱり「あ、これやっちゃいけないんだ」ってのが分かるオイルがいいな。

N:機械と対話できるオイルってことですね。

S:ミッションがここまでしかできませんっていうのが分かんないと。ある意味、エンジンよりも複雑なものがあの中で動いてるから。しかも回転合ってなくても入るようにがんばってるんだから。そりゃあ、ミッションオイル、手を抜いちゃいかんよね。

 

オイルの銘柄変えただけで、これだけ違いが分かるんだから、こんなに楽しいものはない

N:ミッションオイルについて、まだあります?

S:そろそろこの辺でまとめようと思ってたんだけど。

N:じゃあ、詰問会はそろそろ終了ってことですね。うまく乗り切ったなぁ(笑)。

S:そのことには触れないでくださいっていうセリフが聞きたかったんだけど、ダメだったなぁ。

N:はははは。

S:まぁ、でも話しててあらためて実感したのは、客観性というものを追求していっても、正しい判断基準が存在しないのがオイルの世界なんで、やっぱり基準なんてものはないんだよね。人によって解釈が違う。

N:本当に、究極的に、ないんですよ。

S:ないね。たぶん理解力や経験値などすべて総合しても、共感に至るのは五分もないね。

N:そうかもしれない。

S:オイルの良し悪しを知らない人が、僕の書いた文章やオイル屋さんの売り文句を読んだところで、分からないし、混乱するだけかもしれないね。

N:逆に「正しい判断基準や客観性はありますよ」という人は、うーんと思っちゃう。

S:よく「気のせい気のせい」って言うけど、でも、ほんとに気のせいだもんね(笑)。そう思うから気のせい。感じない人はいつまでも気づかない。

N:それが謙虚な道を究める男のセリフっていうことで(笑)。

S:いやいや、ネタにしてるだけだよ。でも、ほんと使ってみないと分からない。

N:オイルをつくる側からすれば、僕がいいですよってネットで訴えたところで、それはまったくお客さんに届かないと思ってるんですよ。鈴木さんみたいな、こういう人たちがいて初めて伝わるんですよね。

S:うちのお客さんは、信用されるのかどうかは分からないけど、鈴木さんが言うなら入れてみるわって言ってくれる人が多いし、確かにいいねって言ってくれることも多い。でも、それ以外の人にも売れてくれないと、こっちも商売だからね。そこで言いたいのが「なんで、ウチのお客さんにしか買わんの!」ってこと。

N:でも、それでいいじゃない。

S:いいのかなぁ。

N:僕が鈴木さんとこのお客さんにネットで書いたような「卓越した性能云々」って言ったところで、まったく響かないですよね。「いい感触が得られます!」って言ったってね、そんなの客観的じゃないしって言われるのがせいぜいだもんね。

S:そうだね。でも、オイルってさ、いつかは換えるものだし、これからも換え続けていくものじゃん。オイルの銘柄変えただけで、これだけ違いが分かるんだから、こんなに楽しいものはないよね。

N:そう思います。

S:死ぬほど高いものじゃないし。たとえば、こんな話もあって。他のクルマ屋さんでオイル交換したお客さん、そのお店から3,000km、5,000kmで交換するように言われてるって話を聞いて。うちはそんなサイクルだと大変なんで、安いオイルで7、8,000km、いいやつだと1万km以上、1年に一回くらいにしてもらってるんですよねって。そうしたら「値段が……」って言う。でも、考えてみてください。1年でオイル交換2、3回するなら、結果的にこっちのほうが安いですよって。そのお客さん、それで納得してくれたみたいで、一回試しに入れてもらったんだよ。そしたらそれ以降、ずっとうちに来てくれるようになって。ぜんぜん違うわって言ってくれたんだけど。

N:おお、それはいいじゃないですか。

S:そのお客さんは3,000km、5,000kmで交換するオイルしか知らなかったんだよね。一回やってみれば分かる。みんなオイルごときでそんなに変わらないって言うけど、それは気づいてないだけかもしれないし、まずはやってみないと。分かるもんも分からんよね。スポーツは練習しないと上達しないのと一緒で、オイルも経験積まないと違いが分からない。人の基準で判断するよりも、自分で良し悪しを感じてほしいね。

 

まとめ/Morita Eiichi

 

 

 

 

 

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